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石の人
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Toumo
最終章|思い出その百五|
石拾いの旅|兵庫県の海岸3
2022年5月3日。
兵庫の朝。
最終章、青森の石を超える石を探す旅。前回に引き続き、兵庫県で石拾い。女将さんに宿代を払う際、こんなところに泊まって、これからどこに行くんだ、と尋ねられた。
女将さん「今日、このあたりでフェスでもあるの?」石の人「ないです。多分。」女将さん「、、、。だったらどうして、、、。」
石の人「釣りでもなさそうですよね。」女将さん「、、、。」
もう去るのだから言ってしまっていいだろう。昨日の割烹での一件もあったことだし、正直に伝えるのが一番だ。
石の人「石を、拾っています。」女将さん「石、、、。」石の人「そうです。日本各地の石を拾い集めています。」女将さん「あら、そう、、、。」石の人「はい、、、。」女将さん「一体何のために、、、。」石の人「ただ、拾い集めています、、、。」女将さん「、、、。」
、、、。
一刻も、はやく!ここを立ち去らなければ!通報され、この民宿が包囲される前に!
石の人「お世話になりました!」女将さん「あっ、、、。」
ダダダダダダダダダダ!走れ走れ、誰にも知られずこの町を走り抜けろ!
石の人「釣りでもなさそうですよね。」
早速ついた海。ここは民宿の最寄駅からひと駅、昨日お世話になった割烹のあった町にある海岸だ。駅からかなり近い。本当はここで石拾いをする気はなく、自転車で大将に教えてもらったまんまる御影石の海岸へ行こうと思ったのだが、まだ朝早く、レンタサイクルできる観光案内所が開いていない。
なので特に期待はせず、この駅に近い海岸にやってきた。せっかくなので石を拾おう。一駅しか離れてないのでここの石もつぶつぶなんだろうな、と適当に拾い始めた。
ころころころ〜。
ころころころ〜。
むむ!むむむむむ!
昨日一箇所目の海岸と、二箇所目のつぶつぶ石の海岸のちょうどあいだのような、いや、ここにしかない石もあるようなないような。まったく昨日から冷静な判断ができていないような気もするが、とりあえず悪くはない。
やっぱり海がきれいなんだよなあ、兵庫。
ころころころ〜〜。
ざざざーん。ざざーん。
ふと思ったことが、ひとつある。今回の旅、どの海岸でもなぜか波打ち際で、つまり濡れた石ばかり拾っていないか?なぜだ、あれほど濡れマジックには気をつけて生きてきたというのに、、、。ここにきてこの愚かな行為はなんだ。いままでの修行は何だったのだ。
いやでもね、ここの石。濡れるとカラフルできれいなんですよ。乾いた部分で石拾いをしてもなーんだかテンションが上がらない。
これなに?なぜ写真をとった?謎だ、、。中心にある石はたいしたことがない。そんなことはわかっているはずだ。ではなぜ。頭がおかしい。そして引き続き濡れた場所で拾うな。
でもご覧の通り、こんなにカラフルで、どうしても拾いたくなってしまうのだ。
小川が海へ流れ込む。ちろちょろちろちょろ。私が好きな海の光景ベスト3のひとつ。小川と海。音もいい。
そして、これで心が落ち着き、自分でも気づけなかった濡れ石拾いの真意が今急にわかった!
ズズズズバ〜〜〜〜ン。
瑪瑙だ。あなた瑪瑙が拾いたかったのですね。
イエス。
あれだけ拾うな、注意しろ、といった波打ち際の石。濡れた石。足も濡れるよ。しかし、ひとつだけ大きな利益をもたらすことが稀にある。そう、それが瑪瑙だ。瑪瑙は、基本半透明で色は白から黄色、赤など様々だが、乾いている時は白っぽくて、ほかの石と見分けがつきにくい。脳内瑪瑙サーチが見逃してしまう。しかし、波打ち際で濡れた時、石と瑪瑙のその差は一目瞭然になる。
ざざざーん。ざざざーん。きれいな海、波の音、、。ころころころろ〜。石の転がる平和な海。そこに、美しい一筋の光が。きらきらきら〜。波打ち際で、瑪瑙は輝く。
石神様「石の人、あなたは瑪瑙が拾いたかったのですね?あなたが落としたのはこの瑪瑙ですか?それともこの瑪瑙ですか?」
石の人「私が落としたのは、青森の錦石です。」
石神様「、、、、。」
石の人「私が落としたのは、青森の錦石です。」
この小川で再び心を清めよう。まだまだ石聖への道は遠い。
石聖とは、石を極め悟りを開いた石の人。私が勝手に想像した人。
時間がないので石を拾います。ころころころ〜。
そしてこれが拾った石たち。やっぱり悪くない。ちゃっかり瑪瑙も拾っている。だが瑪瑙は難しい。他の石ころに比べて硬度が高いので、なかなか自然に研磨されづらく、割れたままにごつごつしているものが多い。たまに奇跡のように丸いものがあったりするが、それを我々は日々探し求めているのだ。
自分の影をとってみたりして、、そんな暇があったら拾いなさい。どうも最近石拾いそのものよりも、石日記のネタになるだとか、これはSNSで映える石だとか、よけいなことばかり考えている。これでは本当の石の良さが伝わらないではないか。
拾え拾え、ひたすらに拾うのだ!石を!
石が点々と転がる。拾う。またしても濡れている。
ところで、私は過去に天狗になっていたことがある。石天狗。石を極めたと勘違いしていた天狗。濡れた石でも乾いた時の姿が容易に想像がつく、石の人の特殊能力、石眼力のひとつを習得したと思い込んでいたが、そもそもそんなものは存在しなかった。のちに家に持ち帰って、その石の姿の変貌ぶりにただひたすら絶望した。そしてその時誓った。絶対に乾くまで持ち帰るまいと。
ああ、石神様。
そしてこれが持ち帰る石、選抜後。なのにさっきより増えている。異次元。これが初めての海岸の恐ろしさよ。記念に記念にと石を拾い続け、記念だらけ。帰りのリュックの重量を、この時はまだイメージできていない。
瑪瑙だけのカット。うん、きれい。綺麗なのだが、特段めずらしいというわけでもない。福井でよく拾えるタイプの白い瑪瑙。石英。
そろそろ観光案内所も開いた頃。駅のほうにもどりますか。
草。石好きは雑草も好き。
帰り道。
後ろをふりかえると、海岸の入り口。さよなら、いい海だったよ、また来るよ。
海で拾った石|兵庫県の海岸3
そして改めてこちらが拾った石を撮影したもの。なんだかくらいが補正はしない。またいつの日か、インスタできれいな写真を投稿するのでそちらを見ていただきたい。
石はというと、結構いい。言いたくはないが青森の石はもちろん超えていない。わかっている。でもこれはこれでここの良さがある。結構上品で、それでいて趣深く、かわいらしい石もアクセントであったりする。楽しめる石の海岸だった。ではこの後の石の写真をとくとご覧あれ。
どうでしょうか。いい石ころたち。
おわり。
おわり。
次回は、引き続き兵庫2日目の石拾い、大将おすすめのまんまる御影石。ごきげんよう。
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石の人について
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今回の石の人のおすすめ
(2022 9/23)
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おすすめの石の本
なんとなく気になる本
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石拾いが趣味になっていた。
石を求めて旅に出た。
孤独と不思議と癒しが織りなす
石と海の思い出日記。
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