アナリティクス

2017年5月21日日曜日

帰路の石拾い、静岡県白田川河口 |思い出その十七|

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石の人

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Toumo

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石拾いの旅|静岡県白田川河口





2016年5月6日。

神奈川県こゆるぎの浜を後にして、伊豆の聖地、菖蒲沢海岸に向かう。
思えば石拾い二回目にしてこの海岸を選んだのは、何たる無謀。
結果は全くだめで、菖蒲沢の洗礼を受けた。
そして今日また懲りずに挑戦しようとしているわけだが、その前に東伊豆は菖蒲沢以外の石スポットはないのか?という疑問が起きた。デザイナーEやSNSの情報からすると、どうやら西伊豆には瑪瑙等が採れ、比較的磨かれた、ころころした石があるらしいのだが、東伊豆に関しては菖蒲沢以外、何の情報も無い。渡辺先生の「日本の石ころ標本箱」にも載っていなかった。むむむ。

それでも少し可能性を探ってみたくなった。菖蒲沢のみ、いい石が落ちているなんてことがあるだろうか?あのような小さな海岸一カ所に集中するなんてことが、、。
というわけで、熱海駅→河津駅の区間で駅近の海岸を探す。結構数があり、片っ端から調べて行きたいのはやまやまだが、今回は帰路の石拾い。あまり時間がないのだ。
インターネットの普及した時代に生まれてよかったとつくづく思う。もしネットが存在しなければ、画像検索はおろか、石や海岸の情報などなかなか調べることができない。書物を読みあさり、地質学を深め、海岸に訪れるしかないのだ。石の同志を見つけるのにも一苦労だっただろう。「石、興味ありますか?」「僕は石を集めてるのですが、、。」などそれっぽい人に話を切り出すほかない。
怪しいスピリチュアルワールドへの勧誘にしか聞こえない。

電車に揺られながらグーグルMAPの航空写真や画像検索で探していると、確実に石のありそうな場所を見つけた。静岡県白田川河口。片瀬白田駅からすぐ近くの海岸なのだが、河口、、。海で石拾いしている者として、川の石拾いはあまり積極的になれない。川から流れてきたばかりの石がゴロゴロ落ちていて、まだよく磨かれていない、ざらざらとした手触りで、白っぽい粉を吹いた、全体的にグレーの海岸。そんな想像が頭から離れない。
メインディッシュは菖蒲沢なのだから、気にせず軽い気持ちで行ってしまえばいいか。本やSNSにまだ紹介されていない石スポットを探すのは本当に難しい。日本には隠された石スポットが一体何カ所存在しているのか、全く見当もつかない。

仕方ないので片瀬白田駅で降りる。印象は、町は少し寂しい雰囲気で、人はあまりいない。駅のすぐ近くに海岸があるようだ。

石拾い 海 静岡県白田川河口

着いた。

グレー。そして石がでかい。歩きにくいし、手頃な大きさの石を探すのに一苦労する。

散歩をしているおばさんや、堤防に座って、川を泳ぐ鴨が眺める若めの男性がいた。常に寂しい雰囲気が漂っている。
別に嫌な訳ではない。前回も言ったが、これが石拾いの醍醐味の一つ、少し哀愁が漂うくらいがちょうど良い。

石拾い 海 静岡県白田川河口

せっかく来たので、石を拾ってみる。

コロコロコロー。

菖蒲沢のはずれの石のようなものが沢山落ちている。ザラザラした赤っぽい石や白っぽい密度の無いスカスカした石だ。
僕が魅力を見いだせない石その2、それがスカスカした石。
あまり比較に出すのも癪なのだが、デザイナーEが拾ってくる御前崎の石はこれらとは対照的で、ぎゅっと圧縮された密度感があり、惑星のように表面には多様な趣がある。触り心地もまた抜群で、すべすべ、またはさらさらした手触り。こういった石は乾いていた状態でも色つやがよく、持ったときには見た目以上にずっしりと重量感がある。石の存在感が強いのだ。
白田川河口の石にはその要素がほとんどない。石それぞれの個性もほぼ無く大きさや形が少し違うだけで、基本的には大きな石や岩の固まりが砕けて、そこそこ丸くなった状態。
石の人ではない読者はこう思うのかもしれない。
「それのどこがだめなんだ?おまえがいつも拾っている石との違いが全くわからない。全部ただの石だろ。」
、、、。
これはあくまで僕のいい石ころの基準であり、全ての石を愛する渡辺先生からしてみれば、外道と言われてしまいそうだ。
宮田珠己先生の「いい感じの石ころを拾いに」を読む限り、僕はこちらの考え方に近い気がする。いい感じのする石ころ、それを僕なりに分析すると、まず密度がないといけない気がする。そのあと、色や形、手触りと趣がプラスされ、後はその人の心にどう映るかだ。384もサラブレッドKも、TADAもみんな少しづつ石から感じる魅力というものが違う。
石拾いの基準が石から見いだす己の精神性に寄る部分が大きくなると、少し困ったことになる。
周りの人に石の魅力を伝えたい僕にとって、じっくり石を眺めているうちに、どこか懐かしく感じたり、ふるさとの趣や侘び寂びを感じたりするといった、抽象的で情緒的な石の愛で方は、石の表面の美しさに重きを置いている石の人にとっては、初見は何の変哲も無い普通の石ころにしか見えないという危険性をはらんでいる。鉱物収集家などはその最たる人々だ。
ちょっとまてまて。また読者の声が少し聞こえた気がする。
「だからそもそも全部ただの石なんだって。」
、、、。

ロケーション、石ともにあまり白田川河口に魅力を見いだせない故に、話が飛んでしまったが、石拾いもそこそこに僕は片瀬白田駅を後にし、お目当ての菖蒲沢に向かうのであった。
これはあくまで石拾いの目線であって、片瀬白田が観光地として魅力が無いということではありません)

石拾い 海 静岡県白田川河口

良い海だ。



川で拾った石|静岡県白田川河口

石拾い 海 静岡県白田川河口

拾った石はこんな感じ。

石拾い 海 静岡県白田川河口

寄りのカット。
右の赤いおにぎりのような石は、面白みが全く無いわけではない。左の白い石も駄目ではない。だが、今日は青森帰りだ。どうしても比べてしまう。石には不運だったと言ってやるしかない。

前にも書いたが、初めての海岸では欲しい石がなくても、少しは拾うようにしている。
年月が経って趣味趣向が変わり、ひょっとしたら重要な石のひとつに成り得るかもしれない、また日本各地の海の石を全て集めたいからだ。

石日記「石と海」は淡々と続く。
次回思い出その十八は、帰路の石拾い、菖蒲沢海岸。




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今回の石の人のおすすめ

(2022 9/24)

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2017年5月2日火曜日

帰路の石拾い、神奈川県こゆるぎの浜 |思い出その十六|

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石拾いの旅|神奈川県こゆるぎの浜






2016年5月6日。

青森での石拾いを終え、その後384の家で一泊して名古屋へ帰る予定だったのだが、あることを思いついてしまう。 帰路の途中、神奈川や静岡で石拾いが出来るのではないか?
しかし、TADAと行く二日間の福井での石拾い、東京デザイナーK&Sと行く二日間の青森での石拾いと、立て続けに石を拾っている。僕のリュックには、青森の石とおみやげ、4泊分の荷物が詰まっている。かなりずっしりきている。亀仙人の修行のようだ。
だが、ここまできたらとことんやってしまえと、拾うことにした。目星をつけた石拾いスポットは、神奈川県こゆるぎの浜と、二度目の挑戦、静岡県菖蒲沢海岸。石の聖地だが、一度目の当時は石拾い初心者だったので、うまくいい石を拾えずに終わっている。今度こそは納得のいく石拾いがしたいところだ。

そんなわけで、気持ち良さそうに寝る384に別れを告げ、いざ出発。東京駅よりJR普通列車に乗り、こゆるぎの浜を目指す。
初めての神奈川で石拾い。渡辺先生の本を見る限り、おおよそ普通の石が落ちているようだ。
・日本の石ころ標本箱
普通ってなんだろう。
正直あまり期待はしていない。

こゆるぎの浜は、相模湾奥に伸びる海岸線の中央あたりに位置する海岸で、大磯駅から歩いてすぐの場所にある。電車での石拾いなので、駅近の海岸は非常に助かる。

石拾い 海 神奈川県こゆるぎの浜

駅に到着して海岸方面へしばらく歩くとトンネルが。なんだかわくわくする演出じゃないか。
トンネルを抜けると、

石拾い 海 神奈川県こゆるぎの浜

目の前に広がる海。風が気持ちがいい。

散々海を見てきた後ではあるが、初めて訪れる海はやっぱりいい。
今日はこのあと菖蒲沢も行くので、あまりゆっくりしていられない。

さっそく石拾いを始めますか。
ここ数日TADAやK&Sと一緒に石拾いをしていたので、一人の石拾いに少し寂しさを感じる。
しかし、それもまた悪くない。
福岡社員旅行の石拾いのように大人数でイベント的に拾うのもいいし、2、3人で楽しく拾うのもいいが、少々孤独を感じながら無心で拾う石拾いこそが、真骨頂。聞こえてくるのは海の音、石の音。鳥の声。

それにしても、、。

石拾い 海 神奈川県こゆるぎの浜

なんて地味な石なんだ、、。
ピ、、ピピ!石スポットレベル2!う〜ん!僕の石センサーがしょんぼりしている。
この日記始まって以来の没個性な石達。駐車場の石みたいだ、、!
この辺りから僕は、全体的にあまりにもグレーで、形も模様も触り心地も代わり映えのしない石の群れを、「駐車場」と呼ぶようになってしまった。
この日記を見ている方も、この海岸で石拾いしたいなんて全く思わないだろう。
前日に、青森の魅力的な錦石を目の当たりにしてきた後のこれなのだ。はっきり言って拾う気なんて起こるはずが無い。拾うのをやめてぼーっと海でも眺めて、10分もしたら、そろそろ帰りますか、、。と足が勝手に駅の方へ向かって行くだろう。
しかし忘れないでほしい。僕が、限りなく石聖に近い存在である事を。(病気)
駐車場な石の群れからもそれぞれの趣を感じ取り、様々な心象風景を見いだすに違いない。
僕はもくもくと拾い始めるのである。

コロコロコロー。

むむむむ、
ふ、普通だ、、。

コロコロコロー!
コロコロコロー!

それにしてもこの海岸、釣り人が多いようだ。石の人にとって、釣り人が多いというのは少し厄介なのだ。
波打ち際に等間隔に座って釣りをたしなむ人々。石拾いは、波打ち際で拾いたいもの。釣り人を避けながらジグザグ歩くことになる。さらには釣り人は魚にしか興味がないから、(言い方失礼)あいつ一体この海に何しに来ているんだ、、?散歩ってわけでもなさそうだし、、。ってな感じで不思議そうにしている。散歩なら海を眺める。ファミリーなら子供と磯遊びをしている。釣りはヒットするまで基本待ちの状態で、海や周りを眺めてやり過ごしている。そんな時に動機が明らかに普通じゃない僕がいる。こちらに視線がバシバシあたってくる。

まあそんなこと気にしていても仕方ないと、またもくもくと拾う。

小一時間が過ぎ、とくに何も起きることなく石拾い終了。
平常心。無。これが真の石拾いの形なのか?と自分に言聞かせながら駅へ戻る。

そして何事も無かったかのように電車に乗り込み、次の石スポットに向かうのであった。


海で拾った石|神奈川県こゆるぎの浜

石拾い 海 神奈川県こゆるぎの浜

拾った石はこんな感じ。

石拾い 海 神奈川県こゆるぎの浜

寄りのカット。
んんん?意外と悪くない。むしろ良い。
そして真ん中あたりにある、鯖のような石。緑からベージュへのグラデーションが実に美しい。後に周りの人々に披露するのだが、なかなかの人気っぷり。
しかしこんな鯖の切り身みたいな石を拾ってしまうなんて、釣り人の見えない圧力がそうさせたのか。だったら感謝しなくては。邪魔とか言ってごめんなさい。


次回思い出その十七は、帰路の石拾い、菖蒲沢海岸の前にちょっと寄り道。





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