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石の人
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Toumo
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石拾いの旅|福井県の海岸
夏。いつもの福井にやって来た。おなじみのTADAと石拾いをするためだ。
だが今回は少し違った。もう一人、TADAの車に乗っているではないか。
誰だ!お前は誰だ。
サラブレッドK「私だ。
サ、サラブレッドK!
TADA「おお。
まだKを知らない方のために説明しよう。
KとはTADAと同じく学生時代の同級生、そして今は東京でデザイナーとして働いている、両親は教師、祖父は旅人で版画家といったサラブレッドぶったKだからサラブレッドKなのだ。
なぜだ、なぜここにいるK!
K「TADAくんの赤ちゃんを見に来たよ。
そうだ!TADAには息子ができた、この時はまだハイハイできたてのTADAジュニアだ。のちに石の力を開眼させるとは、この時はまだ誰も知らない。
で、今日はそのついでに石拾い(本当はこれがメイン)をしようというわけだ。
ちなみに本日TADAの家にお泊まりしTADAジュニアと戯れ、また明日石拾いをしようという、石拾いざんまいな福井の旅with Kなのだ。
さあ、さっそく石拾いの地へ向かおうか。
ブーン、ブーン、ブーーーーーン!
割と知られた石の海岸になってしまったので、まあよろしい。目印の学校を過ぎ、もうすぐ海に着きそう。
ピピピピ!ピピピピピピピ!
計測不能である。
Kと石拾いをしたことは二度ほどある。中でも際立つのが青森での石拾いだ。こちらも同級生の384とKとの旅だ。
そこでKのとてつもない石のポテンシャルを目の当たりにしたことは記憶に新しい。
僕が青森の石の凄さに正気を失い、384が童心に返るなか、Kはもくもくと拾っていた。さまざまな色を放つ錦石には目もくれず、己の石世界を開き、類稀なる集中力でもって拾い続けた。
恐れ慄いた。石拾いのセンスたるものは確実に存在したのだ。石拾い後、民宿での石バトルであっさり惨敗した屈辱。Kの系譜、意思を継ぐ者、天賦の才を持つ男。
超えたい、、石聖になるために、なんとしても超えなければならない壁がここにある。
石拾い廻戦!!
この青森の一件から、石の人の名に恥じない石拾いをしようと心に決めた。僕の石を巡る戦いが始まった。
※石聖(いしひじり、石拾いを極め石拾いを悟った石の人。ちなみに、そんな言葉は存在しない。)
TADAに続き海岸へむかうK。
まてまてまてい!
石拾いの戦いにおいて、海岸に最初に降り立った者、石拾いの先頭に立つ者、有利この上なし。
僕はそれを知っている。TADAは知らないふりしてる。Kはまだ知らない。Kはまだしも、TADAの眼力をもってして、いい石を見落とす訳が無い。特に瑪瑙サーチは福井随一だろう。TADAの後ろを歩くことは許されない。愚行極まりない。
まてまてまてーーーーー!
ここにきてKの参戦はいい刺激になる。石の相手が強ければ強いほど、僕の石の眼力は成長するだろう。もちろん一人で海岸を訪れ、黙々と侘しくせつなく石を静かに拾うこともまたよろし、精神統一にはいいのだが、やはり人間、たまには闘争心というものを燃やし続けなければ、いつか火は衰え消えてしまうだろう。(石の闘争心が人生でいるかどうかはさておき。)そしてこの日記でこのくだりは何度も書いている。
なんか他ごと考えている間に、日記用の写真をパシャパシャ撮っている間に、KとTADAは黙々と石を拾い始めていた。
ああ!
雑念を取り払え!
ころころころ〜。
石拾いを始めてまる一年ほど経ち、この頃から拾う石の数は激減している。場合によっては拾わないことすらある。TADAは僕よりもその兆候が現れるのが早かった、この時すでに、TADAの石の数は、僕の1/3以下だった記憶がある。それほどに石を選ぶ基準と己の石世界が確立されている証拠だ、ぐぐぐ、TADA、、。
しかしこの海岸には以前も紹介した通り、石英の結晶が豊富にある、瑪瑙がある。TADAと僕でよく、結晶まじりの美しい石たちを見つけたものだ。
しかし、最近は、満ち引きのタイミングなのか、波の荒さなのか、はたまた何者かによっての乱獲なのか、、。(だとしたら我々説)とにかく、あまりいい結晶を見つけることがなくなってしまった。
いや、最後に見せてもらうとしよう。
まずは己の石との対話だ、、。
海がきら〜。
お分かりだろうか!?
一つ前の写真に戻ってKのレジ袋の石の量と、TADAのジップロックの石の量を見比べていただきたい。
これが石拾い3、4回の人間Kと、福井の石に祝福された男TADAの、違いである。Kは無駄な石を大量に拾ってしまっている。
ちなみに、TADAが福井の石拾いに目覚めた瞬間の日記が、以下だ。
そして、突然一つの石を見せつけてきた。
K、、これは、、。いい! いい模様じゃないか。
しかしこれは、、、。まあ、あとでみなさん石選抜の時に話しましょうか。
これにて石拾い終了。
こちらが、TADAの拾った石たち。いい。
わかりづらいが、下段左から二番目の薄茶色の石が気になる。
中心の黒い石英の結晶まじりの石が、かつてこの海岸で良く見た、通常であれば、狙いたくなる石。
あと、上段一番右の、TADAが拾いそうにない、大振りでごつごつした黒い塊。
なのにわざわざ拾っていることから、これは恐らく、珪化木(木の化石)ではないか!
こちらが、僕が拾った石。悪くは、ない。
中段右二つがとくに、いい。
こちらが、Kの石。やはり多い!荒削りだが、サラブレッドデザイナーの選抜の力が、ここで試される。見ものだ、、。
TADAの選抜後の石。ずいぶん絞られた。
やはり薄茶色の石は残している。着目したいのは、焼けた後のような、流れる模様の2つ石。これは、粒子が細かそうなので、泥岩なのだろうか。(そういう詳しいことはわからない)いままでのTADAにはなかったチョイスにも見える。
そして、珪化木が消えている、、たしかにあまり形は良くなかったが、、。
Kのお持ち帰りの石たち。意外とコンパクト。
TADAの珪化木があるやないかい!
盗まれた。
Kにとっては始めてみた珪化木、TADAが置いていくので、記念にもらったらしい。まあいいでしょう。
ちゃっかり結晶まじりの石までもらっている。まあ、これもこの海岸ならではの石、、記念にいいでしょう。許す!
だが、さっき僕に見せつけてきた石がない、、、。
実はあの石、硬い泥だった。これはあるあるなのだが、とても綺麗で流れるような模様の石を手に取り、汚れを取るため海水で洗うと、とろとろと表面が溶けていく、、。ああ、これは泥だ、、。泥と言ってもどろどろではなく、ある程度の硬さと岩石っぽい見た目をしている。これに我らはたびたび騙されるのだ。あの、石が海に溶けていったときの絶望感。つらい。
Kよ、石拾いはそれほど甘くはない。これは福井石の洗礼だと思っておきなさい、、。
それにしてもあの石みたいな見た目の泥、なんていうのでしょう。ご存知の方がいれば、教えていただけますか。
はいはい。
いいですよ、この石。
楽しかった。やっぱり複数人でいく石拾いも楽しいね。
K、TADAとの石拾いは、まだまだ続く。
次回も福井。
どんだけ福井で石拾うねん。
ごきげんよう。
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(2022 10/16)リュック・ベッソン
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