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石拾いの旅|福井県の海岸
2016年6月5日。
一カ所目は、おおい町塩浜の海岸。
今まで拾ったことのない石に出会えた。というか厳密には全く同じ石がある海岸なんて存在しないのだが、大半の海は僕が駐車場と呼び始めているグレーのざらざらとした石がたくさんある海岸だ。
何度も言うが、渡辺先生に言わせればそのグレーの中にも違いがあって、花崗岩などのゴマ塩みたいな(分かるかな?)単調な石にも魅力を感じられるらしい。
ああ、渡辺先生、本当に一度会ってみたいです。僕にもグレーな石やごま塩みたいな石の良さが分かる時がくるのでしょうか、、。
それはそれで、全ての石がよく見えてしまい、一種の石の悟りのような状態に突入してしまい、拾う基準がなくなってしまうのではないかという恐れがある。
しかし、それが石聖なのかもしれない。(何を言っているのか自分でももう分からない)
とりあえず、当分その境地には達しないと思うので、気にせず次の石拾いスポットに向かった。
次なる場所は、、。実は決まっていない。
そんな馬鹿な。TADAよ、次の石拾いスポット、全くノープランなわけ?
なんでも、名古屋行きのバス停までの帰り、海岸沿いに車を走らせ、遠目で気になった海岸に降りて石をチェックするというのだ。
TADA!それおもしろそうじゃないか!
福井の海は本当に綺麗だ。車から見える海岸はどれもブルーやエメラルドグリーンで、東海地方の海にはなかなか無い光景。地元をあまり悪く言いたくはないのだが、東海に綺麗な海はほぼ無いのだ。
また、海水浴シーズンでもないので全く人がいない。ちょっと不安になるくらい車も走っていない。周りの山々と相まって、まるで神隠しにあったような気分になる。
この辺りの若狭湾はリアス式で、小さな海岸ごとに集落があり、海の近くでは家族みんなそろってお弁当を食べていたりした。この世のものとは思えない平和な光景。子供達がめちゃくちゃ楽しそうにしている。
そんな中、二人のよそ者が現れる。
ザッ、ザッ、ザッ!
謎の、二人。
海岸を一通り見渡すと、車に戻り、次の海岸を目指す。
SF映画でよくある、宇宙から飛来した重要パーツを田舎町に捜索しに来た秘密組織のようだ。
石の人「・・・ここにはないようだな。」
TADA「・・・ああ。」
石の人「・・・なかなか興味深くはあるが。」
TADA「・・・ああ。」
ごめんなさい。家族の団らんをぶち壊してしまって。
透き通る海水、穏やかな波。
しかし、肝心の石が無い。あっても完全に駐車場な石である。グレー、グレー、グレー、、、。もしくは、白、白、白、、、。
綺麗な海にはいい感じの石があるという共通性を見つけたつもりでいたのだが、全く関係なかったようだ。そういえばデザイナーEが、テリトリーである御前崎海岸の石は魅力的だが、海自体はそんなに綺麗じゃないと言っていた気がする。
ブーンブーンブーン。
TADAが海沿いに車を走らす。僕が助手席の窓から除いて石が無いかチェックをする。
石、石、石はどこじゃい!
なかなか見つからない。遠目で見て、石がある!と車を停めて海岸に降りると、グレー、ザラザラ。
しばらくすると、TADAが目星を付けていたのか、カーナビやgoogleMAPなどで偶然見つけたのか、記憶が曖昧だが、海水浴場の入口に到着した。
海水浴シーズンではないので、入口に柵がある。他に入口は無いのだろうか?と思っている隙に、飛び越えてずんずん進むTADA。先を越されてはいけない、先にいい石を見つけられてたまるものか。と急いで追いかける。
たくさんススキのような草が生えている。素晴らしい光景。
目を奪われて、僕がiphoneでパシャパシャ撮影している隙に、さらにずんずん進むTADA。
お前には、景色を楽しむとかそいうの無いのか!
奥に海が見える。が、ここにもいい石はなかった。
TADAよ、、。もう諦めよう。バスの時間も刻々と近づいてきた。
TADA「いや、まだだ、、まだいける。」
うおおおおおお、TADAよ、ついて行くぞ、石に祝福された男にどこまでも!
ブーンブーンブブブーーーーーーン!
法定速度は守っております。
しばらくすると、またしても海水浴場らしき海岸を発見。
TADAよ、、。もう諦めよう。バスの時間も刻々と近づいてきた。
TADA「いや、まだだ、、まだいける。」
うおおおおおお、TADAよ、ついて行くぞ、石に祝福された男にどこまでも!
ブーンブーンブブブーーーーーーン!
法定速度は守っております。
しばらくすると、またしても海水浴場らしき海岸を発見。
海に出たみた。
ここも、透き通る海。
しかし肝心の石は、、。あるのだろうか。
砂利浜で、ちらほら地味目な石達が落ちている。が、この写真ではまったく分からない。
色は、またしても白や、グレー。
しかし、おやと思って一つ石を拾い、手触りを確かめてみると、ザラザラしていない。ツルツルとも違い、サラサラとシルキーな手触り。色も、モノクロが多いがどことなく上品な風合い、趣を感じる。
しかし、僕の拾った石にTADAはあまり興味を示してはいない。
ここで僕はだんだんと気づき始める。人は石を拾っていくうちに石を見極める力がついてくる(と勝手に思い込んでいる)ようなのだが、少しずつ、趣味趣向が違ってくる。当たり前と言っちゃあ当たり前なのだが、その少しの違いが面白い。その違いでTADAは僕の拾った石にまったく興味を示さなくなるのだ。
思うにTADAは僕よりも少しだけ、石ころに対して鉱物としての面白さを感じている。
鉱物として見ているというのは、その石の成り立ちや成分、採取地の地層等に興味があるということだ。
一方、僕はそこに全く興味がない。触り心地、色、趣といった言葉で形容しきれない感覚的なもののみで選んでいる。まったくもって文章に向いておらず、全て現物を見ない限り伝わらない。
写真にしてもそうだ。触り心地や立体的な石のおもしろさは、インスタにあげているような俯瞰から見た写真一枚では、その石の良さの10パーセントほどしか伝わっていないのだ。
一方、僕はそこに全く興味がない。触り心地、色、趣といった言葉で形容しきれない感覚的なもののみで選んでいる。まったくもって文章に向いておらず、全て現物を見ない限り伝わらない。
写真にしてもそうだ。触り心地や立体的な石のおもしろさは、インスタにあげているような俯瞰から見た写真一枚では、その石の良さの10パーセントほどしか伝わっていないのだ。
いや、現物を見たところで然程伝わらないだろう。
なぜなら僕の心の中の風景でのみ、意味のある石である可能性が高いからだ。
なぜなら僕の心の中の風景でのみ、意味のある石である可能性が高いからだ。
それにしても綺麗な海だ。
多種多様な石がある海岸ではないので、しばらくすると、石拾いにも飽きてきた。
TADAと一緒に海をぼーっと眺める。久しく忘れていた、純粋に海と砂利と石ころを眺めるこの感覚。とても穏やかな海と、晴天なこともあり、ますます透き通る海。美しい、、。
石を拾わず、ただひたすら海を眺めるのである。
後に、海岸名を調べてみたところ、犬熊海水浴場というらしい。
海で拾った石|福井県の海岸
これが、拾った石達。
とうとう、これがなぜ良いと思ったのか読者には全く伝わらない域に達している気がする。それは、僕が更なる石の高みに上がったとかそういうことではなく、単に色んな石を拾い過ぎておかしくなっているだけな気もする。
石拾いとは、常にそういう問いや迷いの尽きないものである。
しかし最後は自分がいいと思ったその心を信じ、ひょいと石を拾い上げるしかないのだ。
それが数日後、光り輝くかもしれないし、なあんだ、やっぱりただの石ころじゃないか。と落胆するのかもしれない。
寄りのカット。少しはシルキーな触り心地が伝わるだろうか。今まで拾った石の中でも1位、2位を争うほどの地味な石達。
この日は本当にたくさんの海岸を見た。
まだ時間はある、どこかに良い石があるはずだ、と答えの無い石拾いと海岸探しのため引き続き、海沿いに車を走らせた。
しかし、結局石のある海岸はこれ以上見つけることができなかった。
次回思い出その二十二は、またしても、TADAと行く石拾いの旅。
ついに、あの菖蒲沢の石拾いで打ち拉がれた帰りに、LINEで送られてきた写真の場所、福井最後の聖地へ。
それにしても、どんだけ福井行ってんだよ、、。
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(2022 10/3)
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